「建築工学」についてのよくある質問

Q1:設計が好きでない人は建築に向いていないか?

建築の仕事は設計だけではありません。建築は,計画,設計,施工,維持管理,改修補修,解体まで幅広い職種があります。また,常に多くの専門家のコラボレーション(協働)の場といえます。

  また,一口に設計といっても,意匠設計,設備設計,構造設計に大別され,さらに細かい分類ができます。建築の職種を調べると,必ず自分のやりたいことが見つかるはずです。

とりあえず,本HPの「建築工学の特徴」を見てください。

 

Q2:建築工学ではどんな勉強をするのか?

本学建築工学科の教育内容は,建築構造,材料・生産,計画・設備の3本柱です。これは,安全で快適な建築物の設計,施工のために必要不可欠な内容であり,教育目標は,建築づくりの基礎的知識とその応用能力を育むことです。

安全な建築づくりの基本は力学(構造力学)です。快適な空間づくりには人間の生理と温度,湿度,色,形等の物理量の関係を知ることが大切です。建築生産(施工)はその集大成としてすべての知識の正確かつ適切な応用力が必要です。建築の職種の多さから非常に幅広い範囲の勉強が必要ですので,開講科目で不必要な科目はないと考えてください。建築知識の幅広さは,自分にあった職業の選択幅の拡大につながります。

 

Q3:建築工学科は工業高校とはどこが違うのか?

 高校までは授業,大学では講義といいます。授業では一般的に正しい内容のみが話され,生徒は聞いて覚えて理解することです。大学の講義は,先端技術の研究成果を含め教員が正しいと信じている内容を講じることで,問題の背景とその問題を解決する過程についても話される訳です。学生はその考え方や内容が正しいかどうか判断する必要があります。聞いて理解するだけでなく,自分で考え判断する事が要求されるところが授業と異なります。

 

Q4:学科に分かれた後の授業の違いは?

 建築工学科は当然建築関係の科目がほとんどとなります。建築用語は,建築学会の定義した用語で,同じ内容でも土木学会の定義した用語と異なる場合も少なくありません。専門用語の違いは始めて勉強する学生には混乱の元です。また,建築ではない構造物(橋,ダム,道路,トンネル,上下水道,護岸その他)は,当然対象になっていません。

 

Q5建築工学科では何故デザイン(製図)を重視しないのか?

 製図能力が重要であることは事実で,重視しています。設計されたものは設計図書(図面,計算書等)にまとめて確認申請しますから,図面は重要な意思伝達手段です。しかし,建築設計や生産には,図面に表現するまでに必要な検討項目が多く,それらの知識なくして図面は描けません。力学を知らずに柱の太さも決定できないからです。建築技術者として最低必要な一級建築士受験に出題される範囲の知識が習得できるようにするために,やむなく製図の時間は少なくなっています。その結果,当学科卒業生の建築士試験合格率は今(現在)かなり高いレベルにあるといえます。

 

Q6:家を建てる以外に,建築の仕事はどんなものがあるのか?

 建築の定義は,土地に固着し屋根と設備が整っている構造物です。これを一言で「家」というなら,家を建てる以外に建築の仕事はありません。ただ,建築の種類は,住宅,集合住宅,ホテル,事務所,学校,病院,体育館,美術館,ドーム球場等々,用途,目的,規模,構造等が異なるため,各々の設計規準も異なっており,その多様性は計り知れないくらいあります。あらゆる用途の建築をすべて手がけることはむしろ不可能といえるかも知れません。建築にはそれだけ幅広い守備範囲があるわけです。

 

Q7:建築家の収入はいくらぐらいか?

 一部の有名建築家を除けば,一般のサラリーマンと変わらないと思います。むしろ,収入は同じでも時間単価は少ない人は多いと思います。建築士法によると,設計報酬は建設費の10%となっていますが,実際には5%前後と言われています。例えば,10階建て1万mの建物で2億円とすると,設計料は1000万円ですが,これには5人で2月の仕事でしょう。単純には一人月100万円となりますが,これに通常の事務所維持経費等考えると,給料は月20万円をさほど越さないと思います。

有名建築家に大学教員が多いのは,生活の安定性を確保した上で,良い仕事を十分時間かけて行うための方法ともいえます。

 

Q8:土木工学の技術を建築で利用することはあるのか?

 地盤調査,地盤改良等の地下の工事にかかわる技術は,建築にとっても非常に重要ですが,専門家は土木工学出身者が非常に多いといえます。この部分の仕事は専門家の力を借りるか専門家に任せることが多いといえます。その他,建築技術は,一般的にあらゆる工学(機械,電気,通信,金属等)の成果を建築に応用する技術が多いのが特徴といえます。

 

Q9建築(建築家)の仕事は忙しいのか?

 建築家は忙しいというより,時間がある限り自分の建築にこだわり,より良い空間作りに専念する人が多いといえます。芸術家に似た感覚を持つ人が多いということだと思います。

 建築技術者は,契約した工期に間に合わせるための行程管理に非常に気を使うことは事実です。工期が遅れることは契約違反となり違約金の支払いと,遅れたことによる営業補償もしなければいけない場合もあるからです。

 

Q10建築はセンスがなくてもできるのか?

 センスがあることは望ましいと思います。芸術的センスがなくても,建築に必要な安全性,快適性,新材料の開発,新工法の開発等々,建築技術に関わる仕事や職種は非常にたくさんあります。

 むしろ,必要なのは自分の仕事に自信を持つことと,完成度にこだわる気持ち,人に喜んでもらえる建築をつくろうと思う気持ちが大切だと思います。

 

Q11建築工学科ではどんな資格がとれるか?

所定の単位を取得し卒業し,国土地理院に申請すれば,測量士補の資格が取れます。また,大学を卒業した年に2級建築士が受験できます。また,大学卒業後2年の実務経験を経て(大学院進学者は2年間の実務経験となる)一級建築士の受験ができます。(つまり大学を卒業すれば卒業して3年目に受験可能となりますが,大学を卒業していないと,2級建築士を取得して2年の実務経験が必要です。)さらに,7年の実務経験後には技術士の受験が可能です。

その他,一級建築施工管理技士,一級建築設備管理技士,測量士,建築主事等の専門業種の資格も受験可能です。また,不動産鑑定士,土地家屋調査士,マンション管理士,測量士等の資格取得をめざす人もいます。就いた職業によりぜひ必要となる資格もあります。

 

Q12:1級建築士と2級建築士でどれくらい違うのか?

 1級建築士に建築の高さ,規模の制限はありません。つまり,どんな建築でも設計施工に携わることができます。2級建築士は,高さ13m,軒高9m以上の建築には携わることはできません。また,それ以下の建物でも,木造以外の建築では延べ面積300m2以上の建築の設計施工はできません。

 本HP「一級建築士とは」を参照してください。

 

Q13:建築は土木の資格はいらないのか?

 建築の仕事は,建築士または建築施工管理技士の資格があればできます。土木関係の資格は必要ありません。

 

Q14:建築工学科と土木工学科で就職はどちらが有利か?

 この数年の実績では,いずれも就職率はほぼ100%で差はありません。就職に有利不利は,卒業した学科より自分の能力によります。能力とは,単に学業成績の良し悪しではありません。SPISynthetic Personality Inventory: 能力適性テストと性格適性テストをひとつに組み込んだ総合適性検査)等の試験対策,作文力,表現力の訓練は早めに始めるのが良いと思います。頑張ってください。